ありがとう ありがとう

 酸素マスクをしながらも精一杯呼吸する、一度きりの生を惜しむかのように。
 私の「今までありがとう」「なんまんだぶなんまんだぶ」手や、頭をさすり、呼びかける声が、届いているのか、聞こえているのか、うなづくようにも見える。
「おばあちゃん報恩講が来るよ」の孫の声に、モニターの数値が上るよう。いのちの終焉の姿を私たちにご説法くださる。

 3年前報恩講の後、大腿骨骨折、「寝たきりになるかも」との診断でしたが、車いすに座れるほどに回復し、リハビリを兼ねて引き続き病院でお世話になっていました。
 流行禍での面会中止、リモートで映る姿に段々と衰えが感じられるようになりました。

 今年は第14世釋尚見、父の13回忌法要を遅れて10月、親戚、総代さんとお勤めをさせていただきました。
 母も安心したのか、病院から食欲も落ちてきたので今後を相談したいとの担当医からの連絡でした。

 その矢先、「呼吸も心臓も弱ってきている」との緊急連絡、そして坊守と面会が出来ました。
 いつ息を引き取ってもおかしくないとのことから、病室で臨終勤行をおつとめ、岐阜に嫁いでいる妹にも連絡を入れると勤務が終わってから長女と駆けつけてくれました。
 翌日は、孫たちも面会が出来ました。また岐阜の家族もみな来てくれて会うことができたのです。

 その後様態も少し落ち着いたとのことでしたが、片付けをして、こちらも少し落ち着いた頃いよいよ連絡が入りました。

 間に合いませんでしたが、また病室で臨終勤行をつとめ、やっと母もお寺に還ることができました。
 今年1月末先往された実弟西念寺住職や、父母や兄弟、姉達、たくさんの方々と倶会一処の中に。

 そして南無阿弥陀仏とみ名称えさせていただく私のいのちの上にも、いつでも母のぬくもりがとどいています。

「なんまんだぶ なんまんだぶ」ありがとう ありがとう。

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