ゆうやけこやけの赤とんぼ

 涼しくなるとどこからともなく〞赤とんぼ”の姿をよく目にします。
 ずっしりと頭の垂れた金色の稲が広がるのどかな田んぼ、そして西の夕日に照らされながらより真っ赤な姿で飛ぶ赤とんぼのすがたが目に浮かびます。

 

ゆうやけこやけの赤とんぼ 負われて見たのはいつの日か

「赤とんぼ」   
久留島武彦/詞
弘田龍太郎/曲



 背負われているのは私ですが、背負っているのは誰でしょうか。
母の背中で、あやされているところでしょうか。
夕暮れの中、兄や姉の背中で、働きに出た親の帰りを待っているところでしょうか。

 背中にいる私には、背負っている人の顔は見えません。
私を背負う母が笑顔の時もあった、兄や姉が涙の時もあったかもしれない。

 しかし、背負われている私は背中から伝わるぬくもりだけを、ただただ感じていました。母の背中であれ、親の帰りを待つ兄姉の背中であれ、背負われているということはそこに、安心とぬくもりを感じられるのでしょう。

 お経さまの中に「荷負群生(かふぐんじょう)」という言葉があります。

 阿弥陀さまは私のすべてを背負ってくださっていると示されています。
私のよろこびも悲しみも寂しさも、すべて知りぬいてくださって、「よしよし。大丈夫、大丈夫」と背負ってくださっているのです。

 童謡〝赤とんぼ”で、私は阿弥陀さまの背中から赤とんぼを見つめているのかもしれません。
それは夕焼け小焼け、西のお浄土の光に照らされながらです。
「さあ帰ろうか」と母や、兄、姉に声をかけられ、安心できる家へと帰るのです。
「さあ還ろうか」との阿弥陀さまの声を聞きながらお浄土への家路を歩ませていただいています。

 たくさん寄り道はしていますが・・・それもまたいいでしょう。

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