ひな壇と私のための足元

 三月が間近になると、ひな壇を設置したなぁという思い出がよみがえります。
パイプを組み立てて、そこにアルミの板を乗せ、毛氈を敷いてひな壇の完成です。
一番上に、お内裏様とお雛様、あれ、どっちが右側だったっけ?


 当たり前ですが、ひな壇は人が乗って遊ぶとぐらぐらして崩れる恐れがあり危険です。
ひな壇に赤ちゃんがよじ登ろうとすると、「危ない!」と登らないように引き止めます。
 しかし、ひな人形が乗る分には、十分重さに耐えられる板です。
まさにひな人形のための床板といえるでしょう。

 床板といえば・・・。

 ただいま存仁寺本堂の床板を張り替えていただいています。長い間たくさんの方のお念仏の声がしみ込んだ床板です。
 その床板の上で、どれだけの方が、お念仏にであえたことを喜び、どれだけの方が床の上に厳しい涙をこぼされたでしょうか。

 たくさんの方々の人生を、お念仏を支えてきた床が、「キシキシ」という諸行無常の響きとともに次の床にバトンタッチをしていきます。
新しい床板の上では、満堂になっても十分重さに耐えることができます。
 また、次の世代の子どもや孫も、同じ床の上でお念仏を喜んでくれることを願います。

 三月下旬には春のお彼岸を迎えます。
 彼岸とはお浄土のことですが、私たちの念仏者の人生はお浄土に続く道です。

 その道は私が乗っても決して壊れる心配はない、ベニヤ板でもなくアルミでもなく、お念仏でできた道でしょう。
 阿弥陀さまがご用意くださったお念仏でできた道。

 私の人生の思い通りになるところもならないところも、すべてが、大切な私の人生でありましたと引き受けていける強さと、しなやかさをお念仏という教えからいただくばかりであります。

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