いのちの ふるさとへ

 昨年より、報恩講のご案内をいただいていた北海道のご寺院から、

 「今年の流行禍の収束の見られない中ではあるが、なんとか縮小しておつとめをさせていただくので、ぜひお会いしたいし、お同行も待ってみえるから出講願いたい。」

 とのお言葉に中部空港より北海道に渡りました。

 
 ご住職が空港まで迎えに来られ、晩秋の紅葉の中をお寺に向かいます。海岸線の見える幹線道路から内道に入り、しばらく走ると川の上空にまだカモメが飛んでいます。

 橋の側に車を停車し、上から川を覗き込むと、なんと鮭の遡上。ゆらゆらと上流に向かって泳ぐ姿、ボロボロになった体で川の流れに逆らって回帰していく姿がみられました。
 中にはすでに力尽き、息絶えた鮭もあり、命がけで川を上っていく姿でありました。産卵のために、自分が生まれた故郷の川に帰っていく(母川回帰)そうです。

 ふと、人生の帰趨を感じました。

 それぞれが生まれ、今自分の人生を歩んでいる。幼い頃のこと、小学校、中学、高校の頃、の青春時代、就職、結婚、やがて子育て、いつしか成長し親元を離れ、独立していく、やがて新しい家庭が出来、孫が生まれ、時々顔をのぞかせる盆や正月のひととき。
 GoToトラベル、国内も慰安旅行や同窓会、友達や夫婦であちらこちらと回り、たまには食事や映画、買い物に出かけ、最近はテレビの番をする時間も多くなった、と回顧される方もいらっしゃるでしょう。

 自分はどこへ向かっているのか、人生の終着地はどこか、いったいどの辺まで来たのであろうか。
 おや、何か流れが緩やかに、川幅が広くなってきたぞ、えっもう河口付近、このまま海に入っていくのか、何か広くて深そうだ、波も起っているし、大丈夫かな。

 川を下り大海にいずる人生だったか、如来大悲の海なのか。

 そうだ、鮭も海に出て外遊し、やがて故郷へ戻るのだ、私もすぐ、この娑婆世界に戻ってこよう。

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