世相今昔と仏法

 親鸞聖人がお生まれになった承安3年(1173年)5月21日(旧4月1日)は平安時代末期で、世の中は天変地異による地震や嵐、異常気象から飢饉による飢餓、疫厲などの病気が蔓延したり、戦乱に明け暮れるなど、先の見えない中、生きることに不安を抱え、それでも必死で生きる末法の時代であったと聞きます。

 また聖人の著述された「ご和讃」やお手紙などからもその時代を窺い知ることができます。
 ご誕生から850年経った今は、どうでしょうか。

 科学技術、コンピューターの技術の進化により生活は豊かになり、益々便利になりました。
 医療の進歩など、高齢化社会になり人生100年とうたわれる、人間の望んでいた世の中の到来を迎えつつあるともいわれるのですから、誰もが満たされた心で日々過ごしているはずであります。

 しかし、生活の現場は毎日のニュースで流行禍への不安はつのり、いつになれば終息に向かうのか、アマビエなるお札に願わざるを得ない、という方もおられるでしょうか。
 また地震、異常気象から起こる災害、米中、北朝鮮はじめ世界の紛争など戦争の恐怖、原発汚染水、マイクロブラスチックごみなど環境、身体への不安、経済の格差から金銭的不安など、キリがありません。

 豊かで便利になれば、幸せになれるどころか不安だらけの生き様は親鸞聖人の時代と変わらない相でしょう。

 何のために生まれ、いのちを終えるのか、それに答えを与えてくださるのがお釈迦さまの説いてくださった「仏法」の教法であり、親鸞聖人は、時代と自己をみきわめつつ、今、現に開かれている阿弥陀仏の本願に帰することを示されました。

 仏法は、人生の悲しさや暗さ、悲観的な考えを押し付けたり、目先の欲望を満たすものでもなく、人生の深い悩みを乗り越えていく道です。
 その道は、誰のいのちにも願いとなっていたり届いているのです。

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